湯灌(ゆかん)とは?
『 湯灌の儀 』『 湯灌式 』ともいわれ、ご納棺の前に、宗教的儀式として現世の汚れ(罪・穢れ)を洗い清めるためにご遺体を沐浴させることです。
この儀式には、赤ちゃんが生まれた時に産湯につかる(胎脂・血液の汚れを落とす)と、儀礼的な産湯(禊祓い)と同じように、一生の仕事を終えて新たに生まれ変わる故人の、安らかな旅立ちと来世での幸福を願う意味も込められています。
また、お身体を清潔にすることは感染予防など衛生的な側面もあります。
何よりお風呂に入って疲れを癒した時の「サッパリ」とした爽快感は、誰しも同じではないでしょうか?
お風呂好きの日本人らしい儀式であり、故人様へご家族からの最後のご奉仕でもあります。
湯灌を行うメリットは?
病院に入院されている方や、自宅で寝たきりの方は思うように入浴ができず、体の汚れも気になるところですよね。
お亡くなりになった時、病院や施設によるアルコール清拭だけでは体の汚れは十分に落とせません。
また、アルコールを使うことで肌が乾燥し、お顔に死化粧(ラストメイク)を施す時などファンデーションのノリが悪くなる場合もあります。
湯灌では、納棺師といったプロのスタッフが故人様をシャンプーやボディソープで洗い、温かいお湯で流しながら入念にマッサージを行うことで、肌に潤いを与え自然な洗い上がりになります。
また、昨今コロナ禍で思うように面会ができなかったので、ご家族からも故人様の手足を洗ってあげたり、お顔を拭いたりして触れ合う時間にもなります。
髭やうぶ毛をきれいに剃りメイクを施した頃には、苦しそうな表情も不思議と柔和で安らかになり、ご家族からは「生きていた時と同じだ」「寝ているみたい」「呼ぶと起きそうだ」「きれいになって良かった」など自然に喜びの声が溢れます。
湯灌時の服装は?
平服、喪服どちらでも差し支えありません。
湯灌は必要?
「お風呂が嫌いだった」「2~3日前に入浴したから」「他人に身体をみせたくない」「費用の問題」など様々な理由で湯灌をされない方もおられます。
また、希望されていても「褥瘡(床ずれ)や水疱」「事故」「死後数日経過」といったお身体の状態がよくない場合はできないこともあります。
湯灌まとめ
『 湯灌 』とは、故人様が元気だった頃のお姿に近づけ、ご遺族の心も癒す事の出来る大切な時間です。
儀式的要素だけでなく、見送る側の「心の満足」にも繋がる事だと知って頂ければ幸いです。