生前整理の始め方
生前整理とは?
物であふれた状態の実家から、大切な遺品や重要な書類を探し出す「遺品整理」は、想像以上に心身の負担が大きいものです。
それに比べ、親御様が元気なうちに持ち物を整理する「生前整理」は、ご家族の負担を軽くできるだけでなく、あらかじめ「実家の状態」や「親御様の変化」を穏やかに知るきっかけにもなります。
親御様が健康で過ごされているうちに、少しずつ始めることができるのが生前整理の良いところですが、「一体何から始めればいいのだろう」と悩んでしまう方も少なくありません。
生前整理の心がまえ
まず片付けの際に心に留めておきたいのは、「実家は親御様の家である」ということです。
他の方から見れば不要な物に見えても、その一つひとつに大切な思い出や思い入れが詰まっています。お子様と親御様では物の判断基準が違うことを受け入れ、必ず親御様の意思を確認し、お気持ちを尊重しながら整理を始めることが大切です。
具体的な進め方①仕分け
具体的な進め方として、まずは「仕分ける」ことから始めましょう。
衣類、薬品、文具、処分するものなど、分類ごとに分けていきます。次に、明らかに使わないものなど「減らす」作業を行います。そして最後に、どこに何を置くかを決めて「収める」という3つのステップで進めます。
具体的な進め方②生活動線から片付ける
実家の片付けは、親御様にとっては「自分の生活に干渉されている」「迷惑だ」と感じられることもあり、時には消極的になってしまう場合もあります。そのような時は、まずは毎日の生活動線から片付けを進めていくのがおすすめです。
トイレやキッチンへ行く通り道に、ぶつかったりつまづいたりする原因になるものがないか確認し、安全に移動できるスペースを確保します。高齢になると家の中での転倒事故が増えるため、動線の安全を最優先に考えます。
具体的な進め方②出し入れしやすい場所に片づける
また、普段の行動パターンを考えて、どこに何があれば便利か、使った後に片付けがしやすい配置になっているかも一緒に決めていきましょう。
日常生活に必要なもの、大切な書類などは、使った後にどこへ戻せばよいのかが一目でわかるように、文字でラベリングをしておくのがおすすめです。体への負担を減らすためにも、生活動線上の低い位置や、出し入れしやすい場所に配置すると安心です。
防災の観点も忘れずに
防災の観点からも、地震が起きた時にタンスや本棚が倒れてこないか、寝室に倒れそうなものや割れそうな危険なものが置かれていないかを確認します。
周囲が一方的に片付けを進めるのではなく、親御様のお話をよく聴き、お気持ちに寄り添いながら、協力して一緒に進めていくことこそが、上手に生前整理を行う秘訣です。
生前整理には、大きく分けて2つの目的があります。1つ目は「親御様がこれからも安全で快適に暮らせる状態にすること」、2つ目は「将来もしものことがあった時に、ご家族が困らない状態にしておくこと」です。
親にもしもの事があった時
突然の入院や、将来的に認知症などで判断が難しくなった時に慌てないよう、大切なものの保管場所をあらかじめ家族で共有し、把握しておく必要があります。
以下の重要書類や貴重品の位置を確認しておきましょう。
①健康保険証(後期高齢者医療被保険者証)や介護保険被保険者証など、突然倒れた時でもすぐに持ち出せるように準備しておきたい書類
②複数の病院の診察券やお薬手帳など、かかりつけの病院や、普段どのような薬を服用しているかを把握するためのもの
③生命保険、医療保険、火災保険、自動車保険、個人年金保険などの保険証書。もしもの時にスムーズに請求できるよう、契約内容もあわせて確認しておきます
④年金手帳や年金証書などの関連書類。今後の暮らしの備えや手続きに役立てるため、年金額も把握しておきます
⑤預貯金通帳や届け出印、キャッシュカード、定期預金証書など、将来の相続手続きや名義変更手続きに必要となるもの
⑥個人向け国債や株式などの有価証券
⑦不動産の権利書や登記簿(登記簿謄本・登記事項証明書)など。これらは必要に応じて法務局で取得することも可能です
⑧家屋や土地の売買契約書、賃貸契約書などの不動産関連の契約書
⑨図面や設備の仕様書、土地測量図、境界確認書などの重要事項説明書
年齢を重ねることによる変化は、ゆっくりと進んでいきます。日頃から、親御様の小さなお困りごとに気づけているでしょうか。
例えば、どこに何があるか忘れてしまったり、同じものを何度も買ってしまったりする記憶力の変化。
必要かどうかの判断や、不要なものの処分が難しくなる判断力の変化。
体力の衰えや、これからの生活への不安、親しい方の訃報による精神的な変化などが挙げられます。
また、歩く速度が遅くなったり、わずかな段差につまずいたりする脚力の変化。
床に置くものが増えたり、掃除がおっくうになったりする腕力の変化。
ゴミやカビの臭いに気づきにくくなったり、消費期限切れの食品に気づかなかったりする味覚・嗅覚の変化。
白内障などで距離感がつかみにくくなり、家の中のほこりや汚れが見えにくくなる視力の変化などもあります。
「最近、実家が少し散らかり始めたな」「親との意識や感覚にズレがあるかもしれない」と感じたら、それが大切なサインです。
まずは今の親御様の状態を優しく理解し、知ることが、無理のない片付けや整理への大切な第一歩といえるでしょう。
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